HUS-ETセミナー

教育工学に関する研究を行われている方をお招きし、ご講演いただく研究会です。2023年度より、研究室主催で、不定期で行っています。

2023年度第4回 HUS-ETセミナー「日本人英語学習者を対象とした英語スピーキング学習支援に関する研究

開催日:2023年11月1日
講演者:仲谷佳恵 先生大阪大学 SLiCSセンター 教学IR・教学データ基盤部
場所:人間科学研究科E117室+オンライン
形態:研究室内限定


 今年から大阪大学に着任された仲谷先生にセミナーをお願いしました。仲谷先生のご研究の1つのテーマは教育工学の立場から英語学習支援にアプローチするものです。今回ご紹介いただいたのは、次のようなご研究でした。

1.  例えば、ある英語記事を読んで、それを要約してスピーキングするという課題は複合的な認知処理が必要です。このため、英語学習者にとっては負荷の高いものです。そこで、この処理で必要となる、語彙の取り出しの処理部分と、語順や時制などを整える処理(統語処理)部分を分割して負荷を下げ、それぞれの処理に焦点をあてて自主練習できるツールや学習活動を用意することで、スピーキング力を向上させようとする研究。

2. 英語スピーキングで表現したいものの単語が思い出せない(または知らない)ときには、別の表現に置き換えたりする方略が有用です。この方略がうまく使える人とそうでない人がいますが、その能力の測定方法を検討する研究。

 研究室では、英語教育の方法をテーマに選ぶ学生も多いのですが、語彙学習に焦点をあてたものが多く、スピーキング支援やその評価の話題には触れることは少なかったため、新しいことをたくさん教えていただけました。また、心的な情報処理モデル(今回ならば言葉の産出)に基づき、具体的な支援の方法を導き、その効果を検証していくという研究プロセスは、メンバー全員にとってお手本になったものと思います。お近くにおられる先生ということもあり、またぜひ次の機会を!と期待しています。




2023年度第3回 HUS-ETセミナー「児童を対象とするプログラミング教育の実践」

開催日:2023年7月5日

講演者:森秀樹先生(昭和女子大学)

場所:オンライン

形態:研究室内限定

 

 教育工学研究室の修了生でもある森先生に、先生が20年以上取り組んでこられたプログラミング教育(そして、テクノロジを使ったものづくりの教育実践)についてお話いただきました。ピコクリケットやスクラッチを使った実践は、学校の内外で様々に展開されており、その事例の多彩さに圧倒されるご報告でした。今回のセミナーは、現在研究室でプログラミング教育の研究をすすめている院生が複数いるため、その研究のヒントをもらえたらと思い、企画したものでした。そのため、プログラミング教育における子供たちの学びの分析に取り組まれた研究事例についても教えていただきました。また新たに着手されているCHOBITTO(ちょびっと)というプロジェクトなどを複数ご紹介いただきました。

 その後のディスカッションでは、プログラミング的思考とはそもそもなんであるか。森先生が実践で大切にされている子どもたちの主体的で自由な創造活動を学校やそのほかの場所でどう展開できるのか。アイデアがあっても技術力が追いつかない学習者をどう支援するのかといった多様な論点での意見交換がなされました。




2023年度第2回 HUS-ETセミナー「企業の研究者に学ぶ」

開催日:2023年6月30日

講演者:牧野直道先生・白砂優希先生(ベネッセ教育総合研究所)

場所:人間科学研究科東館E106講義室

形態:研究室内限定

ベネッセ教育総合研究所の牧野直道先生、白砂優希先生のお二方をお招きし、2023年度第2回HUS-ETセミナーを開催しました。牧野先生からは、教材開発という実践的な仕事において、心理学や教育学の研究がどのように貢献しているか(貢献する可能性があるか)についてお話しいただきました。また、人科のご出身ということもあり、人科で学ぶことができる深い専門性と分野を超えた幅広い見識が、企業(社会)の中でどのように活きているかについてもお話しいただきました。白砂先生からは、大学教員や公的な研究機関の研究者と企業に勤める研究者に求められる役割の違いについてお話しいただきました。セミナーの参加者は学部生がメインでしたが、企業で研究者として働く上で大事な視点や経験する困難などについて、活発に議論が交わされていました。大学での学びや研究活動を通じて得られる専門性について、社会に活かすという視点から深く考えるきっかけをいただくことができました。

2023年度第1回 HUS-ETセミナー「自律性がもたらす心理学的効果」

開催日:2023年6月21日

講演者:市村賢士郎先生(大学改革支援・学位授与機構)

場所:人間科学研究科東館E106講義室+ハイブリッド

形態:研究室内限定

大学改革支援・学位授与機構の市村賢士郎先生をお招きし、2023年度第1回HUS-ETセミナーをハイブリッド形式で開催しました。市村先生には「自律性がもたらす心理学的効果」という演目で、動機づけや創造性、仮想現実(VR)技術を用いた実験を中心に、これまでに市村先生が取り組まれてきた研究について広くご紹介いただきました。研究に取り組んだ背景・きっかけなど、論文には書かれていない話も交えてお話しいただきました。市村先生のご研究は研究室メンバーの関心とも重なる部分が大きく、セミナー後も活発に議論が行われていました。