教育プログラム
知識編
授業で扱う内容は、大阪大学の公開シラバスで以下の授業を確認してください。ただし、授業で扱えるのは、教育工学に関わる知識のほんの一部です。関心のある内容は、自分の執筆する論文のテーマにするなどして、個別に自律的に学んでいただく必要があります。研究室としては、図書の貸与や学習アドバイスの形で自律学習をサポートします。
学部生:教育工学、教授・学習過程論 大学院生(M):教育工学特講 I, II
実践編
学習環境の設計に関わる実践経験や実践的技能の習得ために、学部生には授業(教育工学演習I,II)で、ワークショップの企画・運営を体験してもらっています。このほか、外部組織から依頼のあったワークショップの企画・実施なども有志のメンバーで対応しております。
2023年度以降の内容は研究室の活動>実践活動のページにおいて報告しています。
2016年度までの内容は以下のfacebookページにおいて報告しています。https://www.facebook.com/handai.et/
学生たちが企画するワークショップの多くの内容は、小学生程度の子どもたちを対象とした、広い意味での「創造的活動」に関する90分程度のものです。このようなテーマ設定は、学習環境の設計において中心に据えるべき「構成主義的な学び」を重視するためです。創造的活動とは、自分の頭や手をフルにつかって、自分なりの試行錯誤をしつつ、問題を解決する案を考えたり、イメージを具現化したりしようとする時間です。またこの過程を通して他者とのつながりも作っていきます。この活動は、人間の本来的な学びの姿である「構成主義的な学び」~社会的相互作用を通した、個々のあるいは社会全体の知識構成のプロセスにほかならないと考えています。つまり、どのようなワークショップを設計すれば、参加者たちがいきいきとした創造的活動の時間を経験できるのかを考えることは、学習環境の設計の要点を習得することに通じるはずです。
そして、ワークショップに参加してくれたみなさんが、その経験を通して、本来の学びのイメージを取り返してもらえたら…そんな想いで、とても小さな試みですが、関連の機関のみなさまのご協力のもと、学生にはこの実践に取り組んでもらっています。
研究・論文執筆編
人間科学部では卒業論文、修士論文の執筆が必須となっています。これに対応して、研究室では学生の皆さんに教育工学分野における実証的な論文を書けるようになってもらうことを支援します。下がその学習の道筋です。ただし、これは授業の順序を示しているものであり、実際の学習プロセスは個々の関心等に従い、行ったり来たりになるでしょう。また、他分野から大学院前期課程へ進学してきた場合は、これらの内容の習得の程度を確認し、必要な授業を受けてもらうことになります。
学部2年 秋冬(実験実習1):論理的な文章の書き方の練習、実証的な論文の読み方の練習、統計学の復習(統計ソフトの利用方法含む)
学部3年 春夏(実験実習2):研究方法論(人を対象とした調査・実験を行う分野である心理学の方法論を学びます)、多変量解析を含む心理統計学、本格的な学術論文を読む経験、実証的な研究と研究論文執筆の体験
学部3年 秋冬(実験実習3):関心のある研究テーマやリサーチクエスチョンに関する先行研究をレビューし、ミニ卒業論文を執筆する
学部4年 (卒業演習・卒業研究):本格的な自分の研究を計画・実行して、卒業論文を執筆する
M1:博士前期課程(修士)(特定演習1,2、特定研究1、2):とくに先行研究のレビューに力点をおいて、ミニ修論を執筆する。
M2:学会誌への投稿を見越したレベルでの問題設定・研究方法による研究実施と、修論の執筆。
D1~3:博士後期課程(博士)(特別研究1、2):一つのリサーチクエスチョンの追求のために複数の研究を組み立てる形での博士論文の執筆。博士論文ではオリジナリティの主張が必須です。なお、博士論文には、人間科学に関する多角的で深い理解を反映した問題設定、研究方法論の選択、論考が求められます。
不定期で、学内外で教育工学の研究・実践をされている方をお招きしてご講演いただくHUS-ETセミナーを行っています。過去の開催例については研究室の活動>HUS-ETセミナーをご覧ください。
卒論・修論のテーマ
ある学習法や教育方法の評価、教材開発、そのほか学習環境のデザインに資する、実験的・調査観察的研究などが中心的なテーマです。
卒論、修論の中には、提出後に加筆・修正を行い、学術誌に公刊されているものもあります。近年では、以下の例があります。
*後藤崇志・山下冬華 (2024) 大学生の課題に対する内発的動機づけ・解釈レベルと先延ばしの関連, 日本教育工学会論文誌, 48, 263-271. https://doi.org/10.15077/jjet.47061
*高津遥・村上正行・後藤崇志 (2024) 他者との協調による創造的なアイデアの生成 ―大学生を対象としたグループ(3人組)と個人の比較実験― 教育システム情報学会誌, 41, 41, 107-119. https://doi.org/10.14926/jsise.41.107
その他、卒論、修論の概要は人間科学部のサイトを御覧ください。